原告団長ご挨拶

日頃のご支援ありがとうございます。原告を代表し、お礼申し上げます。

広島で生まれ育った私は、福島の豊かな自然と人間関係に惚れ込み、原発事故の五年前に福島市に移住、2ヶ月前に自宅での出産を終えたところでした。事故後味わった、国と東京電力の、経済優先、命軽視の対応への悔しさと、コミュニティも家族も私自身をも崩壊して行く有り様に、もう二度と同じ原発事故被害者を生んではいけないとの思いを強く持ちました。
現在避難生活6年目に入り、日々の生活で手一杯になっていますが、この裁判に臨むことは私のライフワークになりました。裁判が終わったとしても、この国で被曝と向かい合う日々に終わりはありません。事故により分断されたコミュニティ、家族、私自身の修復と再生の取り組みは、生涯に渡り続いて行きます。

私たち原告が避難先に選んだこの地広島は、一発の原子爆弾で撒き散らかされた放射性物質により、多くの命が言葉に尽くしがたい苦しみを味わい続けて来た土地です。その広島の地を生き、私たちの裁判に心を寄せて続けて下さっている支援者の方々に強い共感を感じ、励まされています。放射性物質は見えず臭いもせず、しかし生命にとっての長い時間をかけての脅威です。その中を今日まで歩み続けて来られた広島の人々に深い尊敬の念を持っています。
この裁判は、広島の地から発信する、未来への希望です。今は亡き多くの方々の思いと、今を生きる私たちの思いを重ね、形にしていきたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
渡部美和